瘀血(おけつ)とは?ドロドロ血の原因と漢方流の改善法

肩こりがひどくてマッサージに行ってもすぐにぶり返す、目の下のクマが消えない、といった悩みはありませんか。それは漢方でいう瘀血が原因かもしれません。瘀血とは単なる血行不良ではなく、血液が汚れてドロドロになり流れが滞っている状態を指します。万病の元とも呼ばれるこの状態を放置せず、漢方の知恵を使ってサラサラな血液と健康な体を取り戻す方法を解説します。
瘀血の定義と漢方における血の役割
漢方医学において、健康を維持するための重要な要素である気・血・水。その中でも血(けつ)は、全身に酸素や栄養を運び、老廃物を回収する役割を担っています。この血の流れが何らかの原因で滞り、本来スムーズに流れるべき血液が停滞したり、汚れて粘度が高まったりしている病的状態を瘀血と定義しています。
西洋医学との視点の違い
西洋医学でいう血液ドロドロや血栓に近い概念ですが、漢方の瘀血はより広義な意味を持ちます。血管の中だけでなく、微細な血管の循環障害や、打撲による内出血、ホルモンバランスの乱れによるうっ血などもすべて瘀血に含まれます。つまり、血液検査の数値には表れないような微細な血流の滞りも、漢方では未病の段階として捉え、治療の対象と考えるのです。
瘀血になってしまう条件と原因
なぜ血液は滞ってしまうのでしょうか。瘀血が引き起こされるには、現代人ならではの生活習慣や体質的な条件が深く関わっています。
冷えとストレスが二大要因
最大の条件は冷えです。水が凍ると流れなくなるのと同じように、体温が下がると血管が収縮し、血液の流れも物理的に滞ります。また、ストレスも大きな要因です。漢方では気(エネルギー)が血を動かすと考えますが、ストレスで気の巡りが悪くなると、それに伴って血の動きも止まってしまうのです。さらに、脂っこい食事や甘いものの摂りすぎも血液の質を悪化させ、粘りを生む原因となります。
改善するメリットと放置するデメリット
瘀血のケアをすることは、美容と健康の両面で劇的な変化をもたらしますが、逆に見過ごすことには大きなリスクが伴います。
全身の不調解消と美容効果のメリット
瘀血を解消する最大のメリットは、頑固な痛みや婦人科系トラブルの改善です。生理痛、生理不順、慢性的な頭痛や肩こりが解消されるだけでなく、肌のターンオーバーが正常化し、シミやクマ、くすみが薄くなるといった高い美容効果も期待できます。血が巡ることで全身の細胞が活性化し、疲れにくい若々しい体を手に入れることができます。
生活習慣病リスクが高まるデメリット
一方でデメリットとして、瘀血を放置すると血管系の重篤な病気につながるリスクがあります。血流の悪化は高血圧や動脈硬化を招き、最悪の場合は脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる疾患の引き金になりかねません。また、女性の場合は子宮筋腫や内膜症などの疾患が悪化する要因ともなるため、たかが血行不良と侮ることはできません。
具体的な症状のサインと評判
自分が瘀血体質かどうかは、体に出るいくつかのサインで判断することができます。具体的な症状例を知っておきましょう。
皮膚や舌に現れる特徴的なサイン
鏡を見て舌の裏側を確認したとき、静脈が太く浮き出ていたり紫色になっていたりするのは典型的な瘀血のサインです。また、舌のふちに紫色のシミのような斑点が見られることもあります。皮膚においては、顔色がどす黒い、目の周りにクマができやすい、唇の色が悪い、肌がザラザラして化粧ノリが悪いといった症状が現れます。足に静脈瘤ができたり、あざができやすく治りにくいのも血の巡りが悪い証拠です。
痛みと精神面の症状
痛みに関しては、刺すような鋭い痛みが固定した場所に現れるのが特徴です。生理痛が重く、経血にレバー状の塊が混じるのも瘀血タイプによく見られる症状です。精神面では、のぼせやすくてイライラしたり、不安感が強かったりすることも多く、更年期障害の症状として現れることも少なくありません。
瘀血を流すコツと生活習慣
ドロドロになった血液をサラサラに戻すためには、日々の食事や生活習慣を少し変えるだけで大きな効果が得られます。
血をきれいにする食材を摂る
食事では、血液サラサラ効果のある食材を積極的に取り入れるのがコツです。タマネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなどの香味野菜には体を温めて血を巡らせる強い作用があります。また、サバやイワシなどの青魚に含まれるEPAやDHAは血液の凝固を防ぎます。黒豆やきくらげ、ナスなどの黒っぽい食材や紫色の食材も、漢方では血を浄化する働きがあるとして推奨されています。
入浴と運動で物理的に流す
シャワーだけで済ませず、毎日湯船に浸かって体を芯から温めることは、瘀血解消の基本手順です。体が温まると血管が拡張し、滞っていた血流が回復します。また、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動を習慣にし、ふくらはぎの筋肉を動かすことで全身のポンプ機能を高めることも重要です。
注意点やリスクと回避方法
血流を良くすることは基本的に良いことですが、状況によっては注意が必要な場合もあります。
妊娠中の強引な駆瘀血は避ける
妊娠中の方は注意が必要です。瘀血を取り除く作用(駆瘀血作用)のある食材や漢方薬の中には、子宮収縮を促す恐れがあるものも存在します。例えば、紅花(コウカ)や桃仁(トウニン)などの強力な生薬は、妊娠中の服用には慎重な判断が求められます。妊娠の可能性がある場合や生理過多の傾向がある場合は、自己判断での摂取を避け、専門家に相談することでリスクを回避してください。
セルフチェックの手順
自分の今の状態を把握するために、簡単なセルフチェックを行う手順を紹介します。
舌と痛みの確認手順
まずは自然光の下で鏡を用意し、舌を出して色や形、裏側の静脈をチェックします。次に、おへその周りを指で軽く押してみてください。抵抗感や圧痛(押すと痛い感じ)がある場合、お腹の中に古い血が滞っている可能性があります。これらのサインと、肩こりや頭痛などの自覚症状を照らし合わせることで、瘀血のレベルを推測することができます。
おすすめの漢方薬
生活習慣の改善と合わせて取り入れたい、瘀血に効果的な代表的な漢方薬を紹介します。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
瘀血を改善する代表的な処方として最も有名なのが桂枝茯苓丸です。血行を良くして熱のバランスを整える働きがあり、のぼせや冷えが混在しているタイプに適しています。比較的体力があり、肩こり、頭痛、生理痛、生理不順、更年期障害などに悩む方に幅広く処方され、体全体の巡りを良くする効果が評判です。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桂枝茯苓丸よりもさらに作用が強く、便秘がちな体力のあるタイプに向いているのが桃核承気湯です。強力な駆瘀血作用に加え、便通を良くすることで毒素を排出します。のぼせが強く、イライラして精神的に不安定な方や、高血圧に伴う症状、腰痛などがある場合に効果を発揮します。
まとめ
瘀血は万病の元と言われる通り、放置すれば美容だけでなく健康寿命をも脅かす存在です。しかし、冷えを防ぎ、食生活を見直し、漢方の力を借りることで、血液は必ずきれいな状態に戻すことができます。舌のチェックや日々の不調をサインとして受け取り、今日からできる温活や食養生で、巡りの良い体作りを始めましょう。
よくある質問
瘀血や血流改善に関して、患者様からよくいただく質問に専門家がお答えします。
Q1. 瘀血は遺伝しますか?
瘀血そのものが遺伝するわけではありませんが、体質や骨格、食生活の好みは家族間で似ることが多いため、結果として瘀血になりやすい傾向が似ることはあります。親御さんが血流が悪くなりやすい場合は、若いうちから生活習慣に気をつけることで予防することができます。
Q2. どのくらいの期間で改善しますか?
個人差や症状の重さによりますが、食生活の改善や漢方薬の服用を始めてから、肌の調子や痛みの軽減といった効果を感じるまでに2週間から1ヶ月程度かかることが一般的です。血液全体が入れ替わるには約3〜4ヶ月かかると言われているため、根気よく継続することが大切です。
Q3. 水分補給は瘀血解消に役立ちますか?
はい、非常に重要です。水分が不足すると血液の粘度が上がり、ドロドロになりやすくなります。ただし、冷たい水を大量に飲むと体を冷やして逆効果になるため、常温の水や白湯をこまめに飲むように心がけてください。



























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