麻黄湯と葛根湯の違いは?風邪やインフルに効く正しい使い分け

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麻黄湯と葛根湯の違いは?風邪やインフルに効く正しい使い分け

風邪の引き始めといえば葛根湯が有名ですが、関節の痛みや高熱には麻黄湯が良いと聞いたことはありませんか。どちらも初期の風邪に使われる漢方薬ですが、実は体力や症状によって明確な使い分けが必要です。間違った選択は効果が薄いばかりか体調を崩す原因にもなりかねません。この記事では漢方の専門家が、麻黄湯と葛根湯の違いと正しい選び方について詳しく解説します。

目次

麻黄湯と葛根湯の定義と基礎知識

漢方薬局でも特によく質問されるのがこの二つの薬の違いです。どちらも「体を温めて病気の原因を発散させる」という基本的な働きは似ていますが、その強さと守備範囲には大きな差があります。まずはそれぞれの薬が持つ本来の定義と特徴について理解を深めましょう。

麻黄湯は短期決戦型の強力な発汗薬

麻黄湯は麻黄、桂皮、杏仁、甘草というわずか4種類の生薬から構成される非常にシンプルな処方です。生薬の数が少ないということは、それだけ一つの方向に対して鋭く強く作用することを意味します。麻黄湯の最大の役割は、強力な発汗作用によって体内に侵入したウイルスなどの邪気を一気に追い出すことです。インフルエンザのように急激に高熱が出る病気に対して、短期間で集中的に戦うための薬といえます。

葛根湯は体を温め筋肉をほぐす万能薬

対して葛根湯は、麻黄湯に含まれる成分に葛根、生姜、大棗、芍薬を加えた7種類の生薬で構成されています。麻黄湯よりもマイルドに作用し、体を温めながら筋肉の緊張をほぐす効果に優れているのが特徴です。風邪薬としてだけでなく、肩こりや乳腺炎、緊張型頭痛など幅広い症状に応用されるため、家庭の常備薬として非常に使い勝手の良い処方として定義されています。

使い分けが成り立つ条件と基準

二つの薬を使い分けるためには、その時の自分の体の状態(証)を正しく判断する条件があります。この条件を見誤ると、期待する効果が得られないことがあるため注意が必要です。

汗が出ているかどうかが最大の条件

最も分かりやすい判断基準は、汗が出ているかいないかという点です。麻黄湯も葛根湯も、基本的には「寒気がして汗が出ていない状態」に用いる薬です。しかし、麻黄湯は特に「汗が全く出ずに皮膚が閉じており、体の中に熱がパンパンにこもっている状態」に適しています。もしじっとりと汗をかいているような時にこれらを服用すると、発汗しすぎて脱水症状や激しい疲労感を招く恐れがあるため、汗の有無は服用の絶対条件となります。

体力の充実度による使い分け

漢方には体力のある人を「実証」、虚弱な人を「虚証」と分ける考え方があります。麻黄湯は胃腸が丈夫で体力がある「実証」の人向けの薬であり、その作用の激しさから「体の弱い人には使ってはいけない薬」とも言われています。一方の葛根湯は、麻黄湯ほど体力がない人でも服用できるように、胃腸を守る生姜や大棗、筋肉の痙攣を和らげる芍薬が配合されています。そのため、比較的幅広い体質の人に対応できる条件が整っています。

服用のメリットとデメリット

それぞれの薬には明確なメリットがある反面、知っておくべきデメリットや副作用のリスクも存在します。これらを天秤にかけて、最善の選択をする必要があります。

麻黄湯のメリットと体への負担

麻黄湯のメリットは、なんといってもその速効性と切れ味の良さです。体に合った時の効果は劇的で、服用して一汗かくことで翌朝には熱が下がっているというケースも少なくありません。しかしデメリットとして、交感神経を刺激するエフェドリン類を含む麻黄が多く配合されているため、動悸や不眠、胃の不快感などを引き起こしやすいという点があります。心臓に負担がかかりやすいため、循環器系に不安がある方にとってはリスクが高い薬です。

葛根湯のメリットと効果の限界

葛根湯のメリットは、風邪の初期症状だけでなく、慢性的な肩こりや頭痛など日常的な不調にも活用できる汎用性の高さです。副作用のリスクも麻黄湯に比べれば低く、比較的安心して服用できます。ただしデメリットとして、インフルエンザのような強力なウイルスによる高熱や激しい関節痛に対しては、力が及ばないことがあります。症状が重篤な場合には、葛根湯では効果不十分となる可能性があることを理解しておく必要があります。

具体的な症状別の選び方と評判

実際にどのような症状の時にどちらを選べば良いのか、具体的なシチュエーションや使用者の評判を交えて解説します。

インフルエンザや関節痛には麻黄湯

「節々が痛くて高熱が出た時に麻黄湯を飲んだらすぐに楽になった」という評判が多く聞かれるように、インフルエンザ様症状には麻黄湯が適しています。悪寒が強く、ガタガタと震えるような寒気があり、腰や背中の関節が痛む場合は麻黄湯の出番です。ただし、効果が高いのは発症直後の数時間から1日以内という非常に短い期間に限られるため、タイミングを逃さないことが重要です。

首筋の張りや軽い風邪には葛根湯

「なんとなく寒気がして首の後ろが凝っている時に葛根湯が効いた」という声は非常に多いです。風邪の引き始めで、うなじから背中にかけてこわばるような感覚がある場合は葛根湯がベストチョイスです。また、鼻風邪の初期で鼻水や鼻詰まりがある場合にも効果的です。高熱というほどではないけれど、なんとなく調子が悪いという「未病」の段階で服用することで、本格的な風邪への移行を防ぐことができます。

効果を最大化する服用のコツ

漢方薬の効果を十分に引き出すためには、ただ飲むだけでなく「飲み方」や「過ごし方」にコツがあります。これを知っているかどうかで、回復のスピードが変わります。

温かい飲み物で飲み体を温める

麻黄湯も葛根湯も体を温めて発散させる薬ですので、冷たい水で飲むのは効果を半減させる行為です。必ず白湯か、可能であれば温かい生姜湯などで服用することが推奨されます。服用後は布団に入って体を温かく保ち、じんわりと汗をかく環境を整えることが、薬の効果をアシストする最大のコツです。

発汗したら着替える重要性

薬が効いて汗をかいた後は、そのままにしておくと汗が冷えて逆に風邪を悪化させてしまいます。汗をかいたら速やかに下着を着替え、体を冷やさないようにすることが重要です。また、十分に汗をかいて熱が下がったと感じたら、その時点で麻黄湯や葛根湯の役割は終了です。漫然と飲み続けるのではなく、症状の変化に合わせて服用を中止するのも上手な使い方です。

注意点や併用に関するリスク

市販薬として手軽に購入できるため見落とされがちですが、飲み合わせや服用してはいけない人に関する重要な注意点があります。

風邪薬や解熱鎮痛剤との併用に注意

市販の総合感冒薬や鼻炎薬には、麻黄湯や葛根湯に含まれる「麻黄(エフェドリン)」や「甘草(グリチルリチン)」と同じ成分が含まれていることが多々あります。これらを併用すると成分の過剰摂取となり、動悸、血圧上昇、むくみといった副作用が出るリスクが高まります。漢方薬と西洋薬を併用する際は、必ず成分表を確認するか、薬剤師に相談して重複を避ける対処が必要です。

高齢者や心臓病の人は避ける

麻黄には交感神経を興奮させる作用があるため、心臓病、高血圧、甲状腺機能障害などの持病がある方は服用を避けるか、医師への相談が必要です。また、高齢者は一般的に体力が低下しており、強い発汗作用が心身の負担になることが多いため、安易に麻黄湯を使用するのはリスクを伴います。高齢者の風邪には、より穏やかな麻黄附子細辛湯や香蘇散などが選ばれるケースが多いです。

風邪を治すための正しい手順

風邪を早く治すためには、漢方薬の選択だけでなく、経過に応じた適切な対処手順を踏むことが大切です。

引き始めのタイミングを逃さない手順

麻黄湯も葛根湯も「引き始め」に飲むことが鉄則です。「なんだか寒気がする」「喉がイガイガする」といった違和感を覚えた直後が服用のベストタイミングです。家に常備しておき、症状が出たその瞬間に服用できるよう準備しておく手順が、重症化を防ぐ鍵となります。時間が経って熱が上がりきってからや、数日経過してから服用しても、本来の効果は期待できません。

症状が変化したら薬を変える手順

風邪は刻一刻と症状が変化します。初期段階を過ぎて、熱が下がり咳や痰が出るようになったり、食欲が落ちたりした場合は、麻黄湯や葛根湯から別の薬へ切り替える必要があります。例えば、熱が下がった後に咳が残るなら麦門冬湯、食欲不振や微熱が続くなら柴胡桂枝湯など、その時の症状に合わせて柔軟に対応を変えていくことが、長引かせないための手順です。

おすすめの市販薬と常備のポイント

いざという時に困らないよう、どのようなタイプの製品を選び、どのように備えておくべきか、おすすめのポイントを紹介します。

満量処方かどうかの確認

市販の漢方薬には、エキス成分が医療用と同じ量含まれている「満量処方」と、成分量を抑えたものがあります。しっかりとした効果を期待する場合は、パッケージに「満量処方」と記載されているものを選ぶのがおすすめです。有名メーカーの製品であれば品質も安定していますが、成分量をチェックしてコストパフォーマンスの良いものを選ぶのも賢い方法です。

まとめ

麻黄湯は体力がある人の高熱や関節痛などの「激しい初期症状」に、葛根湯は体力中等度の人の肩こりや悪寒などの「一般的な初期症状」に適しています。どちらも「汗が出ていない引き始め」に飲み、温かくして発汗を促すことが重要です。自分の体質や症状の強さに合わせて正しく使い分けることで、風邪やインフルエンザの辛い症状を最小限に抑えましょう。

よくある質問

麻黄湯と葛根湯の使い分けについて、店頭でよく聞かれる質問とその回答をまとめました。

Q1. インフルエンザに葛根湯は効きますか?

効果がないわけではありませんが、インフルエンザ特有の高熱や強い関節痛に対しては、麻黄湯の方がより高い効果が期待できます。ただし、体力がなく胃腸が弱い方がインフルエンザにかかった場合は、麻黄湯ではなく、より穏やかな香蘇散や、医師の処方による抗インフルエンザ薬の検討が必要ですので、無理に葛根湯や麻黄湯のみで治そうとせず受診をお勧めします。

Q2. 麻黄湯と葛根湯を一緒に飲んでもいいですか?

両方を同時に服用してはいけません。麻黄や甘草など重複する生薬が多く含まれており、過剰摂取による動悸、不眠、血圧上昇などの副作用リスクが高まります。症状に合わせて、どちらか一方を選択して服用してください。

Q3. 妊娠中や授乳中に飲めるのはどっちですか?

葛根湯は比較的安全性が高いとされ、医師の判断で処方されることもありますが、自己判断での服用は避けるべきです。特に麻黄湯は作用が強いため、妊娠中の服用は慎重になる必要があります。授乳中に関しては、どちらも服用可能な場合が多いですが、赤ちゃんの様子を見ながら、まずは産婦人科医やかかりつけの医師・薬剤師に相談することをお勧めします。

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