耳鳴りは漢方で治る?キーンとジーの違いで選ぶ薬と原因を解説

静かな場所にいるはずなのにキーンという金属音が響いたり、耳元でセミが鳴いているようなジーという音が消えなかったりしてストレスを感じていませんか。耳鼻科で検査をしても異常なしと言われ、諦めかけている方も多いのが耳鳴りの悩みです。しかし漢方医学では耳鳴りを、耳だけの問題ではなく体全体のバランスの乱れとして捉え、明確な治療対象としています。この記事では音の種類によって異なる原因と、不快な音を消し去るための漢方薬の選び方について専門家が詳しく解説します。
耳鳴りの定義と漢方における水毒と腎虚
医学的に耳鳴りは、周囲に音がないのに自分にだけ音が聞こえる自覚的現象と定義されます。漢方医学においては、耳は五臓の腎と深いつながりがあると考えられています。腎は生命エネルギーを蓄える場所であり、加齢とともにこの機能が衰える腎虚の状態になると、聴覚機能が低下して耳鳴りが発生します。また、体内の水分代謝が滞る水毒(すいどく)の状態も大きな要因です。耳の奥はリンパ液で満たされていますが、体全体の水の巡りが悪くなると内耳がむくみ、それが雑音となって現れるのです。
気血の巡りとストレスの影響
腎や水の問題だけでなく、気や血の巡りも耳鳴りに直結します。過度なストレスがかかると、漢方でいう肝が高ぶり、気が頭部に逆流します。これを肝火上炎と呼び、激しい怒りやイライラとともに突然キーンという高い音が鳴り響く原因となります。また、高血圧や動脈硬化によって血流が悪くなると、耳の周辺の血流も滞り、神経が過敏になって雑音を拾いやすくなります。
耳鳴りが起こる条件と音の違い
なぜ人によって聞こえる音が違うのでしょうか。漢方では耳鳴りの音の高さや種類によって、その原因となっている体質の条件を判別します。
キーンという高い音はストレスと加齢
金属音のようなキーンという音や、電子音のようなピーという高い音が聞こえる場合は、主にストレスや加齢が原因です。ストレスによる場合は音が大きく、イライラすると悪化する傾向があります。一方、加齢による腎虚の場合は、セミが鳴くようなジーという音が続き、夜間や疲れた時に音が大きくなるという条件が揃っています。
ボーッという低い音は水分の停滞
低いモーター音のようなボーッという音や、ゴーッという音が聞こえる場合は、体内に余分な水分が溜まっている水毒が原因であることが多いです。このタイプはめまいや立ちくらみを伴うことが多く、雨の日や湿度の高い日に症状が悪化しやすいのが特徴です。内耳のむくみが神経を圧迫することで、低い重低音が響くような不快感を生み出しています。
漢方治療のメリットとデメリット
耳鳴りに対して漢方治療を行うことには、西洋医学的なアプローチとは異なるメリットがありますが、効果の現れ方には個人差というデメリットもあります。
体質改善と全身症状の緩和
漢方薬を使う最大のメリットは、耳鳴りだけでなく付随する全身の不調も一緒に改善できることです。例えば、高血圧に伴う耳鳴りに対して釣藤散などを用いれば、肩こりや頭痛も同時に緩和されます。また、腎虚を補う八味地黄丸を使えば、耳鳴りとともに夜間頻尿や腰痛といった老化現象全般をケアすることが可能です。
即効性と継続の必要性
デメリットとして理解しておくべきは、耳鳴りは非常に治りにくい症状の一つであり、漢方薬であっても即効性を感じにくい場合があることです。特に加齢による慢性的な耳鳴りは、長年の積み重ねで起きているため、体質を改善して効果を実感するまでには数ヶ月単位での継続が必要になることがあります。
具体的な症状とタイプ別の評判
耳鳴りに悩む方が抱える具体的な症状や、よくある評判から自分のタイプを見極めましょう。
めまいを伴うメニエールタイプ
耳が詰まったような閉塞感があり、低い耳鳴りとぐるぐる回るめまいを繰り返すタイプです。これは内耳のリンパ水腫、つまり水毒が原因です。「天気が悪いと耳がふさがる」「立ち上がった瞬間にクラっとする」といった評判や悩みを持つ方は、水の巡りを整えるケアが必要です。
高血圧によるイライラタイプ
朝起きた時に頭痛がし、肩がガチガチに凝っていて、キーンという高い耳鳴りがするタイプです。これは血圧が高めで脳の血管に負担がかかっている状態です。「カーッと頭に血が上ると音がひどくなる」という場合は、気と血の巡りを鎮めるアプローチが有効です。
耳鳴りを和らげるコツと生活習慣
薬だけでなく、日々の生活の中で耳への負担を減らし、巡りを良くするコツがあります。
耳周りの血流を良くするマッサージ
耳の周りには聴覚に関わるツボが集中しています。耳たぶを軽く引っ張ったり、耳の付け根を回したりしてマッサージを行うのが血流改善のコツです。また、耳の後ろにある完骨(かんこつ)というツボを温めるのも有効です。蒸しタオルなどで首筋から耳の後ろを温めることで、滞っていた気血が流れ出し、筋肉の緊張が解けて音が和らぐことがあります。
静寂を避ける工夫
耳鳴りは静かな場所にいると余計に気になり、それがストレスとなってさらに悪化するという悪循環を生みます。寝る時に静かな音楽を流したり、ラジオを小さな音でかけたりして、完全な無音状態を作らないことが、脳の過敏さを和らげる生活の知恵です。
注意点やリスクと回避方法
耳鳴りの中には、一刻を争う危険な病気が隠れていることがあります。
突発性難聴を見逃さないリスク回避
ある日突然、片方の耳が聞こえなくなり、強い耳鳴りとめまいが起きた場合は、突発性難聴の可能性があります。これは発症から48時間以内の治療開始が勝負と言われる緊急性の高い病気です。漢方で様子を見ようと放置すると、聴力が戻らなくなるリスクがあります。急激な聴力低下を感じたら、まずは耳鼻咽喉科を受診し、適切なステロイド治療などを受けることが最優先の手順です。
自分に合う薬を選ぶ手順
耳鳴りの漢方薬を選ぶ際は、音の種類と体力を基準にする手順で絞り込みます。
音の高低と体力の確認手順
まずは聞こえている音が「高い」か「低い」かを確認します。高い音ならストレスや加齢、高血圧を疑い、低い音なら水分の停滞を疑います。次に自分の体力を確認し、胃腸が強ければ実証向け、弱ければ虚証向けの薬を選びます。この手順を踏むことで、ミスマッチを防ぐことができます。
おすすめの漢方薬と選び方
耳鳴りの原因に合わせて選ばれる、代表的な漢方薬とその特徴を紹介します。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
めまいや立ちくらみがあり、低い耳鳴りがする水毒タイプの方には苓桂朮甘湯がおすすめです。体内の水分代謝を整え、内耳のむくみを解消することで耳鳴りを軽減します。胃腸が弱くても服用しやすい処方です。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
加齢に伴うキーンという耳鳴りや、ジーという慢性的な耳鳴りがあり、腰痛や頻尿を伴う腎虚タイプには八味地黄丸が適しています。生命エネルギーである腎気を補い、聴覚機能の衰えをサポートします。
釣藤散(ちょうとうさん)
高血圧傾向があり、慢性的な頭痛や肩こり、のぼせを伴うキーンという耳鳴りには釣藤散が選ばれます。脳の血管を拡張して血流を良くし、高ぶった神経を鎮める働きがあります。働き盛りの方や、ストレスが多い中高年に評判の良い薬です。
七物降下湯(しちもつこうかとう)
高血圧があるものの、体力がなく虚弱で、顔色が悪いタイプの耳鳴りには七物降下湯が向いています。血圧を下げながらも体を栄養し、血行を改善することで耳鳴りを緩和します。
まとめ
耳鳴りは耳だけの問題ではなく、体内の水毒、腎虚、気血の乱れが音となって現れたサインです。低い音なら水分代謝を整える苓桂朮甘湯、老化による音なら八味地黄丸、高血圧やストレスなら釣藤散など、自分の体質と音の種類に合った漢方薬を選ぶことが改善への近道です。諦めずに内側からケアを行い、静かで快適な日常を取り戻しましょう。
よくある質問
耳鳴りに悩む患者様からよくいただく質問に、専門家の視点でお答えします。
Q1. 漢方薬はずっと飲み続けないといけませんか?
症状が改善すれば飲むのをやめても構いません。しかし、加齢による耳鳴りは老化現象の一つであるため、アンチエイジングとして八味地黄丸などを長く続けることで、耳鳴りの再発予防だけでなく、足腰の弱りなども防ぐことができます。
Q2. ストレスで耳鳴りがひどくなるのはなぜですか?
ストレスを感じると自律神経が乱れて血管が収縮し、耳への血流が悪くなるからです。また、漢方ではストレスは肝の熱となり、それが頭部に上昇して耳鳴りを悪化させると考えます。リラックスすること自体が治療の一つです。
Q3. 市販のナリピタンなどは効きますか?
市販されている耳鳴り改善薬(ナリピタンなど)には、この記事で紹介した漢方処方(当帰芍薬散やニコチン酸アミドなど)が含まれていることが多いです。自分の症状と薬の成分が合っていれば効果が期待できます。パッケージの効能書きをよく読み、自分の体質に合うか確認してから購入してください。

























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